化学系の転職は難しい?化学メーカーの転職事情を現役社員が解説

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化学系の転職は難しい?化学メーカーの転職事情を現役社員が解説

この記事は以下の人に向けて書いています

・化学メーカーに就職したあとの選択肢を知りたい学生

・化学系で研究開発をしたい転職希望者

・化学メーカーの転職事情を知りたい人

化学メーカーの人材戦略は新卒一括採用が根強かったのですが、ここ数年で明らかに中途採用の動きが活発になっています。

私が10年以上大手化学メーカーで働いている間にも様々な経歴の方が入社し、そして転職していきました。

そこで本記事では、化学メーカーの転職事情について

  • どういった人が化学メーカーに転職してくるのか
  • 化学メーカーに入ったあとの転職はどのような選択肢があるのか

を実例ベースで紹介します。特に転職で年収アップが見込める軸ずらし転職、つまり同業種×異業界・異業種×同業界の例が中心です。

私の周りで実例の多い技術職、とくに研究開発職の話がベースですが、化学メーカーへの転職を考えている人には有益な内容となっています。ぜひ最後まで読んでください。

化学メーカーへの転職は経歴×希望職種で難しさが激変

化学メーカーに限らない話ですが、前提として中途採用者で未経験者を採用することはほぼありません。

※製造オペレーターだけは例外

そして、年齢による採用のイメージは以下の通りです。

  •  20代は第二新卒同様の扱い・ポテンシャル採用が効く
  •  30代は即戦力となるスキルや知識が必須
  •  40代はマネジメント経験or市場価値の高いスキルが必須

化学という技術の性質上スキルと業務内容を完璧にマッチさせることが難しいため、他業界よりも経歴やスキルの重要性は高いと感じています。

希少スキルを持っているという理由で40代以上・非管理職の方が中途入社してくる事例は普通にあります。

研究開発職への転職は経験の有無で大きく変わる

前提として、化学メーカーで研究開発をしたいなら以下の経歴のどちらかは必須です。

  1. 理系学部の修士以上(工学系・化学系ならなお良い)
  2. 研究開発の実務経験

特に①は新卒でも実質上選考の最低基準となっているため、②の実務経験だけある人はかなり珍しいと思います。

最近の新卒採用事情は博士の採用率が年々上がっていることもあり、学部卒での研究開発枠が増えることは今後ないと思った方がいいでしょう。

異業界の研究開発⇒化学系研究開発も最近多い

研究開発の転職なら同業界同業種、つまり前職も化学系の研究開発をやってきた人が王道ですが、最近では異業界の研究開発経験者が転職してくるパターンも増えています。

自社にない技術を持つ人材を登用して弱みを補強するイメージですね。

素材開発に携わっていて特に多いと感じるのは、異種材料開発者や最終製品に近い業界出身者です。

化学工業全体としては有機材料を扱う会社の方が多いですが、単独では性能の限界があることから無機材料を取り入れる動きが活発です。

また、素材の用途情報は多少なりともブロックされるため、製品側の視点を持つ人材は開発を行う上で貴重な戦力になります。

逆に、製品側から素材開発に転職する人の理由はものづくりがしたいからというのがダントツで多いです。

最終製品に近づくほど、製品は作るものから組み合わせるものになるからという理由ですね。家電製品や車関係の退職エントリにチラホラ書かれています。

どうしても研究開発を諦められない人にも手はある

修士号と実務経験の壁に阻まれて研究開発ができないと嘆く人をこれまで結構見てきましたが、全く手がないわけではありません。

かなり覚悟がいるのでオススメはできませんが、いったん会社を辞めて大学院に入ってから再度研究開発を目指すというものです。

一度研究職を諦めて大卒で働き始めたものの、働いているうちに研究職への思いを捨てきれず……という人をこれまで2人知っています。本人たちも明らかに人生を遠回りしたと言っていました。

理系の大学院を卒業してメーカーの非研究職に就く方がはるかにハードルが低いので、今この記事を見ていて大学院への進学を迷っている方がいましたら、特段の事情がない限り大学院へ進学することをオススメします。

派遣社員から研究開発の正社員を狙うのは茨の道

派遣社員から研究開発を目指そう!といったネット記事が目立つので書いておきますが、この考えはほぼ不可能と思った方がいいです。

なぜなら派遣社員が行う業務は研究補助であり、研究開発の実務経験としてカウントされないからです。

派遣社員の形式には2種類あり、その雇用形態は以下の通り。

  • 正社員型派遣:技術者派遣の正社員として雇用され、派遣会社の社員として働く
  • 登録型派遣:派遣社員として契約期間のみ働く

正社員型派遣はIT業界のSESでよくみられる雇用形態ですが、化学業界では一般的ではありません。私の会社でも数例を見た程度です。

また、製品開発のスパンが他産業に比べて長いことも、成果物に対する知財権の扱いが難しいことが理由と考えられます。

そもそも正社員型派遣の社員は修士卒が多く、メーカーの研究開発部門で働けるレベルの人が働き方の自由を選んで入社しています。

一方で、登録型派遣は化学業界でも一般的に利用されている雇用形態であり、2015年の派遣期間ルールで色々にぎわせた形態がこちらですね。

登録型の派遣社員が行う業務はあくまでも研究補助であり、研究開発の根幹に関わらせてもらうことができません。

少なくとも私の会社では派遣社員の登用制度はありませんでした。

実際に研究補助業務で化学メーカーに来て働いている間に研究開発を志すようになる実例を多く見ているため、注意が必要です。

研究開発以外に枠を拡げれば選択肢は増える

研究開発業務は実質経験者でないと厳しいですが、同じ技術系でも研究開発以外に目を向ければかなりの選択肢があります。

研究開発以外の技術が活かせる職種例

・技術営業

・技術マーケティング

・品質保証関連

・生産管理

研究補助業務で来た派遣社員が、製造オペレーターの待遇のよさを知って転職に成功するパターンは複数見ています。

採用する会社側も、化学メーカーの製造がどういうものかを理解した応募者の方が定着率が高いことを知っているからですね。

職種以外に強い希望があるかを改めて考えておく

ここまで就きたい職種に関して説明して来ましたが、他に条件面での希望がある場合は注意が必要です。

特に勤務地の固定希望がある場合は転職の難易度が跳ね上がります

年収や待遇面で有利な大手企業は転勤ありの全国勤務(海外含む)が前提になっていることがほとんどですからね。

三菱ケミカルが働き方改革で一般社員の転勤を原則撤廃したものの、大手企業で転勤なしを選べるのはまだまだ先の話と言えそうです。

一方で、転勤なしを重視するなら、中小企業や大手企業の子会社など拠点が単一地域にしかない会社を選ぶのもひとつの手です。

自分の中で転職活動の軸をどこに定めるかはしっかり考えておきましょう。

化学メーカーからの転職は難しいのか

よく化学系の知識やスキルはつぶしが効かないと言われますが、意外にそんなことはありません。

私が知っている中でも、同業種同業界以外に多彩な転職先があります。

他業界の研究開発に進む人は多い

化学メーカーの研究開発は化学系だけに限定されると思われがちですが、他産業に転職する方もかなり多いです。

例えば素材開発の経験がある人は機械系や電子材料系の業界では重宝されます。

樹脂材料は金属とはまるで性質が異なるため、同じような考えで製品設計ができないからです。

化学品を使わない産業はほぼ存在しないため、応用が利きやすいんですね。
 

在籍中に得たスキルを活かして別の道へ

化学系の技術は研究開発の人口が多いわけですが、その経験を活かして別の道に進まれる方もいます。

ここで特に多い一例として知財関連を取り上げます。知的財産権を権利化できる特許は製造業にとってなくてはならない存在です。

特許を扱うにあたって専門分野を実際に取り扱った経験の有無はパフォーマンスに大きく影響するため、実務経験を数年積んだあとに特許事務所へ転職される方はチラホラいます。

人によっては在籍中に弁理士を取得される方も…こうなると鬼に金棒ですね。

化学系求人を探すなら転職エージェントがオススメ

化学系の求人を探す方法は種々ありますが、手間を大幅に削減できる利点から転職エージェントを利用するのがオススメです。次点で自分の経歴が魅力的かを客観視できるスカウトサービスですね。

各方法でそれぞれメリットは異なるため、自分の考えに合った方法でトライしてみましょう。

1.企業の中途採用サイトに直接応募

大手企業の中には自社HPの中に中途採用情報を載せている場合があります。

ただし、HPの求人票にはアウトラインしか書かれていないことが大半なため、なかなか希望に合う求人かどうかを判断するのが難しいです。

加えて、面接の準備や条件交渉を自分でする必要があるのもつらいところ。

どうしても行きたい企業があり、長い目でウォッチできるのであれば挑戦してみるのもよいでしょう。

2.転職サイトを活用する

転職サイトを活用するメリットはいろんな会社の求人を見ながら能動的に活動ができるところです。

ただし、転職サイトで確認できるのは公開求人のみであり、非公開求人に多い

  • 具体的な記載が必要な研究開発
  • 期間限定のプロジェクト
  • 管理職以上などのハイクラス求人

などが探しにくいのが難点ですが、転職エージェントと併用することで欠点をうまく補えます。

登録すれば転職サイトと転職エージェントの両方が使用できるdodaを利用するのがオススメです。

3.転職エージェントを利用する

転職エージェントのメリットはなんといっても転職活動の手間を大幅に削減できること。

希望に合った求人情報の探索や各種面接対策、合格後の条件交渉などをエージェントへ丸ごとお任せできます。

転職の成否がエージェントに左右される欠点はあるものの、自分の希望や経歴に合ったエージェントを選ぶことで回避できます。

職種別にオススメの転職エージェントをまとめているので、ぜひ参考にしてください。

>>【職種別比較】化学メーカーの転職に有効な転職エージェント5選

4.スカウトサービスを利用する

今すぐ転職したいという熱量はないけど、どのような求人があるかを手軽に確認したい、自分の価値を知りたい…そんな人にオススメしたいのがスカウトサービス。

自分の職務経歴を公開すれば、条件に合う求人の方からコンタクトを取ってくれます。長い目で転職を考えるにはうってつけのサービスです。

利用するならハイクラス求人が多いビズリーチがオススメです。

>>ビズリーチの紹介記事はこちら

化学メーカーの転職事情は明るい

化学メーカーは転職するのが難しそうとか、一度勤務するとつぶしが効かなさそうというイメージがありますが、その実態は以下の通り。

  • 化学メーカーへの転職の難しさは条件の絞り方で変わる
  • 化学メーカーからの転職は世間で言われている以上に豊富

年功序列、終身雇用、転勤前提…数ある業種の中でも特に古い慣習が残る製造業ですが、働き方改革の波は確実に来ています。

これから化学メーカーへの転職を希望する人にとっては確実にプラスとなる時代です。

ホワイト企業が多い化学メーカーが少しでも気になったら、どんな会社があるかぜひ一度見てみましょう!

>>【職種別比較】化学メーカーの転職に有効な転職エージェント5選

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